としかん 音学楽記 : 吹奏楽のための第2組曲 ラティーノ・メキシカーナ (アルフレッド・リード)

  • Latino-Mexicana音楽が魅せるラテンの景色 Part #2

    楽曲について
    アルフレッド・リード × 吹奏楽のための第2組曲 ラティーノ・メキシカーナ
    アメリカを代表する吹奏楽作曲家 アルフレッド・リード。彼の代表作「吹奏楽のための第2組曲 ラティーノ・メキシカーナ」は、個性豊かで人間味あふれるラテン音楽のエッセンスを取り入れることで、ラテンアメリカ諸国の様々な情景を、彩り豊かに表現している。Part2では、第3・第4楽章につ…
  • III. Guaracha ― アルゼンチン 酒盛りの歌

    第2楽章の美しいセレナーデとは対照的に、第3楽章では「Guaracha (グアラチャ)」という、明るく軽快な雰囲気の音楽が展開されます。
    この「グアラチャ」とは、スペインを起源にキューバや中南米で広がった歌や舞踏の音楽で、本楽章でモチーフとなっているのは、アルゼンチンの酒盛りの歌です。

    陽気な人々が、歌い、踊り、笑い合う...そんな酒場の風景を彷彿とさせるかのように、ラテン打楽器のリズムに乗せてクラリネットやバスーンがいきいきとしたメロディーを奏で、さらに、あちらこちらでグラスをぶつけ合い、乾杯するかのように、様々な楽器による対旋律が絡み合うことで、アグレッシブでありながら、どこかふわっとした雰囲気が醸し出されます。

    III. Paso Doble ("A la Corrida!") ― メキシコ 闘牛場の行進曲

    そして、終楽章。「Paso Doble ("A la Corrida !") (パソ・ドブレ - ア・ラ・コリダ!)」は、その名の通り、スペインからメキシコに伝わった闘牛場の行進曲「パソ・ドブレ」をモチーフにしています。

    ここでは、3拍子 + 2拍子 = 5拍子のパソ・ドブレに、フラメンコの曲想も取り入れられ、その特徴である情熱的で明るく、しかし時に哀愁漂う旋律、スペイン民族色の残る曲想に、より一層彩りが加えられています。

    副題である "A la Corrida !":「闘牛にて」(意訳すれば「華麗なる闘牛で」とか?)からも分かるように、一種の祭りである闘牛の風景を描写しているようで、情熱的で華やかなオープニングに始まり、闘牛士の登場を彩る力強いファンファーレ、観客の声援のようなファンファーレのエコー、フィールドを駆け抜ける風や緊張感を感じさせる旋律、そしてゲームが始まり、華麗なパソ・ドブレがスタートします。

    中間部では、伸び伸びとしたフラメンコのような音楽が展開され、その後徐々に音楽は厚みとスピードを増していき、祭りの最高潮を表すかのようにクライマックスには長調に転調して、これまで以上に華やかで煌びやかなエンディングで締めくくられます。

     

    このように第2組曲は、ラテンアメリカの音楽をテーマにした一曲の組曲であるにも関わらず、その中では、非常に多彩でユーモラスな音楽を構成しています。






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